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第18話  

最近、秋元詩韻は気分が優れなかった。彼女の家庭は裕福ではなかったが、子供の頃から可愛かったため、両親は彼女にできる限りのことをさせてくれた。

 さらに、彼女は歌やダンスの才能に恵まれており、中学時代から高校時代まで、常に学校の人気者だった。

 江城の大学に進学しても、それは変わらず、すぐに多くの人から注目されるようになった。

 彼女は、常に複数のイケメンお金持ちたちの間を自由に行き来し、彼らに様々なプレゼントを競わせていた。中には、数百万円もするBMWのスポーツカーをプレゼントした者もいたが、さすがに車を受け取ることはできなかった。仕方なく、服やバッグなどのプレゼントだけを受け取っていた。

 彼女は、もらったプレゼントを安く売って、かなりの金額を稼いでいた。

 その後、彼女はライブ配信で、彼らにお金を使わせようと考えた。

 わずか数ヶ月で、彼女は2000万円以上のギフト収入を得ることができた。これは予想外のことで、プレゼントを安く売るよりも、はるかに儲かることに彼女は気づいた。

 しかし、最近、彼らの態度が冷たくなってきていることに彼女は気づき始めた。2、3人は、すでに他の女に乗り換えてしまっていた。

 さらに、彼女の二大パトロンの一人である高坂俊朗までが、他の女にうつつを抜かしているというのだ。

 噂によると、ここ数日、高坂俊朗は毎日、あの相川沙織を連れて金葉ホテルに出入りしているらしい。詩韻は、強い危機感を覚えた。

 彼女はこの関係が長くは続かないことを悟っている。誰だって馬鹿じゃない。彼女にあれだけ投資しているのに、何のメリットもないのでは、他の女に乗り換えた方がマシだ。

 そこで、彼女は今夜、ある決断をした。自分を追いかけている男たちに、今夜、自分のライブ配信でランキング1位になった者とデートする、と仄めかしたのだ。

 今、二大パトロンの一人、高坂俊朗はすでに来ていた。あとは、徳永勇が来れば完璧だ。この二人がいれば、今夜はきっと大儲けできる。

 高坂俊朗は秋元詩韻の言葉を聞いて、ランキング1位になる準備を始めた。

 ランキング1位を見てみると、総額1560万円。徳永勇の野郎が貢いでいる。

 自分はランキング2位で、約800万円貢いでいる。つまり、あと800万円貢げば、ランキング1位になれる計算だ。

 もちろん、これは徳永勇が来ない場合の話だが…

 この2年間で、彼も4000万円以上はギフトに貢いできた。しかし、その4000万円で、何人もの小規模配信者をモノにしてきたのだ。

 噂をすれば影…

 徳永勇のID勇者ヨシが、ライブ配信ルームに現れた。

 レベル380の大物の登場により、高坂俊朗はランキング3位に転落した。

 「詩韻、来たぞ!」徳永勇は、いきなりコメントを投稿した。

 「ヨシ兄、いらっしゃいませ!応援ありがとうございます!」

 「詩韻、今夜こそ、準備万端だ。必ずデートを勝ち取るぞ」

 「ヨシ兄、詩韻は待ってます!」

 高坂俊朗がコメントを投稿した。

 「徳永、俺はここにいるんだぞ!調子に乗るなよ!後で恥かくことになるぞ」

 「高坂、てめえのことなんて眼中にねえよ。さっさと勝負しようぜ」

 口ではそう言いながらも、二人とも内心では少し不安だった。二人の家庭環境は似たり寄ったりで、二人とも馬鹿ではない。

 このまま競い合えば、共倒れになるのは目に見えている。しかし、秋元詩韻のしなやかな体と、甘く囁くような声を思い出すと、二人とも血が騒いでしまう。

 言葉は要らない!

 スーパードリームロケット発射…

 (俊ちゃんが、配信者秋元ちゃんにスーパードリームロケットを1個贈りました)

 (勇者ヨシが、配信者秋元ちゃんにスーパードリームロケットを1個贈りました)

 …

 (俊ちゃんが、配信者秋元ちゃんにスーパードリームロケットを66個贈りました)

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